MoviesSF映画コラム

【ネタバレ】映画『インターステラー』を簡単に解説・考察!地球を救うのは”時をかける親父”

Movies
この記事は約13分で読めます。

「難解」でありながら、何度も見たくなる作品を作るクリストファー・ノーラン監督の手がけたSF映画の傑作『インターステラー』。
監督の”ホンモノ”へのこだわりから来る「相対性理論」とか「量子力学」とか物理学に基づく描写に、ぐちゃぐちゃな時間軸。何も気にせず観ても”感動”する作品ですが、「難解」な部分をスッキリさせるともっと面白くなるハズ!
この記事では【ネタバレ】アリで『インターステラー』で語られた内容を、言葉や時系列を整理する事で徹底解説していきます。1度観た事がある人も、これからの人も是非、読んでみて下さい。

AD
AD

『インターステラー』あらすじ

出典:ワーナー ブラザース 公式チャンネル


長く続く異常気象や、食物の疫病の発生で人類の存亡が危ぶまれる近未来。アポロ計画は”でっち上げ”として教科書から削除され、大学進学の道も狭き門。”未来”を語るのではなく”今”をどう生きていくのか?を迫られる閉塞感のある世界。元NASAの宇宙飛行士で現在は義父とトウモロコシ農場を営んでいるクーパー(マシュー・マコノヒー)は、ひょんな事から解体されたハズのNASAの施設にたどり着く。

その施設では、今の地球人を救うために宇宙への移住計画「ラザロ計画」が進められていた。
計画を指示する昔の仕事仲間だったブランド教授に要請され、クーパーは宇宙飛行士として「ラザロ計画」に参加する事になる。

クーパーは娘のマーフ(マッケンジー・フォイ)に「必ず戻ってくる」という約束を残し、ブラン教授の娘、アメリア博士(アン・ハサウェイ)とロミリー博士(デヴィッド・ジャーシー)、ドイル博士(ウェス・ベントリー)の3名共に”第二の地球”を求め未知の銀河系に向けて出発する。
果たして「ラザロ計画」は成功するのか…?
愛する家族に再び逢う事が出来るのか!?

解説の前に…『インターステラー』が難解な”ワケ”

「あらすじ」だけだと、「難解さ」が全く伝わらないと思います。
実際、予告編を観ても感じないと思います。…が、本編に入るとその専門性とリアルな描写が相まって「難解」になってきます。
その主な理由としては以下の2つ。

『インターステラー』が難解な”ワケ”①:理論物理学者キップ・ソーン

こちらの理論物理学者キップ・ソーンという方は”ガチ”の科学者で2017年ノーベル物理学賞を受賞するほどの人類の英知。凄い人。
なぜ彼が関係するかというと、この映画の科学コンサルタント 兼 製作総指揮を取っているからなんです。
彼のエピソードで言うとホーキンス博士と賭けで「裸の特異点は存在するか」「ブラックホールに落ちた物質が保持していた情報は永久に失われるか」みたいな”何言ってるの?”とそれこそ凡人とは違う次元のお方。そんな彼が監修、総指揮を取っているので”根底”にある”物理学”が”ホンモノ”で、凡人の理解できるスピードでは語られず、理解の外で話が進む感じがあるからなんです…。

『インターステラー』が難解な”ワケ”②:クリストファー・ノーラン監督

それを言ったら御終い感もあるんですが…『インターステラー』に関しては「難解な”ワケ”①」との相乗効果もあり、絶大な”難解力”を発揮しています。
その理由が、クリストファー・ノーラン監督の”ホンモノ/リアル志向”。描写で現実世界にない物は”作りだし”物語の根幹も”ホンモノ/リアル”にこだわるので、凄く理解しがたい「物理学」を”履修”している主人公たちの目線で全てが進行します。
『インターステラー』でも、その傾向は随所にみられ
・思い描くトウモロコシ畑が無いので、500エーカー(60万坪!!)の土地にトウモロコシを植えて本当に作る
・ブラウン教授の書いた黒板の数式は、理論物理学者キップ・ソーンが書いた”ガチ”なやつ
・宇宙船は実物大。寒い星の臨場感を出すためには極寒の地でロケを敢行

みたいな感じで、その志向が感じ取れます。
なので当たり前ですが”現実的”ではない、よくいる説明担当のキャラクターなんていません。

※ワームホール(ワープ)の説明は劇中でありましたが…それ以外の方が圧倒的に難解です
リアルだからこそ、臨場感や緊迫感。映像が持つ力が強くなるのですが『インターステラー』においては「難解さ」に拍車をかける事になっています。

『インターステラー』を理解する為に、知るべき”3つ”のSF用語

難解な”ワケ”で書いた通り、”ガチ”な理論物理学というベースがあるので知っておきたい3つの”SF用語”を解説していきます。これだけでも大分と理解度は違うハズ!

知っておきたいSF用語①:ブラックホール

知ってるよ!という声が聞こえてきそうですが…。実際知らない事が多い”ブラックホール”。
『インターステラー』では最も大事な要素と言っても過言じゃない存在がこの”ブラックホール”です。

”ブラックホール”だけで凄い文量になってしまうので、簡単に必要な内容だけ説明します。

出典:ディスカバリーチャンネル

まず、この”ブラックホール”ですが、簡単に説明すると<重力の塊>の球体/天体です。
重力とは、質量が重たいものが、質量の低いものを引き寄せる力だとイメージして下さい。
ブラックホールはその重力が物凄く、光だろうが何だろう中心に引き寄せます
そうなると中心には”ブラックホール”より質量の軽いものが大量に集まってパンクしそうなものですが、”ブラックホール”の中心は無限に他の物を収納する事は可能なんです。この中心こそが”特異点”と呼ばれる部分です。”特異点”はどんどん他の質量を格納するので質量はどんどん大きくなり、”特異点”のある中心に近づけば近づくほど重力も強くなります。
次に、この黒く見える球体ですが中心の”特異点”以外は何も本当はありません。
黒く見える範囲の光を引き寄せているので、黒く見えているだけなんです。
その黒く見える境界の部分を”事象の地平面”と呼んでいます。

知っておきたいSF用語②:相対性理論

アインシュタインにより1990年代初頭に発表された理論で、その根幹は「光の速さは何時如何なる場所でも常に一定である」という所にあります。※ここ重要※
光の速さは一定なので、小学校で習った「時間=距離×時速」で考えても光が<ある点A>から<違う点B>まで進むために掛る時間は距離が変わると長くなります。”気持ちの悪い”話ですが、この<ある点A>から<違う点B>が本来同じ距離なのに、違う距離になった場合はどうなるのでしょうか?
全く持って意味が解らんと思うのですが、騙されたと思って下の図を見て下さい。
まず、上下に光が往復するのに1秒間かかる時計があったとします。その時計を凄く早く走る電車に乗せた時、
電車に乗っている人と、②電車を外からいている人ではどう違う様に見えるのか?

出典:TOKI DESIGN

答えとしては、中の人は変わらず一直線に往復しますが、外から見ると、電車が高速で動いているので光が底面から斜め上に進み、反射されて斜め下に帰ってくるで光の移動距離が伸びている事が分かります。
「光の速さは何時如何なる場所でも常に一定」なので進む距離が延びれば、その分時間が掛かります。つまり電車の中から時計を見ている人は、自分が凄いスピードで動いているで気づきませんが実際、外から見ている人と比べると、電車の中の「1秒」は、外の「1秒」より長くなるんです。これは走るスピードが上がれば上がるほど、外の人から見た光の移動距離は大きくなるので、スピードが速いほど時間の経過は、外よりも遅くなることになります。

ここまで読んで分からなかった人は私の説明力不足です…。すいません。とりあえず、普通に生活しているときと比べて、光の進む距離が長くなると時間の経過は遅くなるって事です。

知っておきたいSF用語③:ウラシマ効果

『インターステラー』ではこの言葉は出てきませんが、②の相対性理論で書いた通り高速で動く乗り物に乗っている時に、光の進む距離は伸びるので時間の経過が遅くなります。
それにより、普通に生活している人と時間の経過速度が狂い高速で動く乗り物に乗っている人が乗り物から降りた時、乗っていない人とで加齢に差が出る現象を”ウラシマ効果”と言います。
これだけで物語が進行するのがアニメでは『トップをねらえ!』ですね。知らない人はすいません…。
しかし、『インターステラー』では更にその先に行きます。それは…”重力”と”相対性理論”の合わせ技です。
”ブラックホール”は重力の塊で、先にも書いた通り何でも中心に寄せ付ける力を持っています。光も例外ではなく重力によって引き寄せられ、湾曲して進みます。湾曲する分、光の進む距離が長くなり時間の経過も遅くなります。つまり
は重力が強い物の近くでは時間の経過が普通と比べて遅く、重力が強くなればなるほど時間の経過が遅くなるという事になります。

大事な事なので、もう一回。
結論:重力が強くなればなるほど時間の経過が遅くなる

『インターステラー』の時間軸の整理

用語の内容だけだと、何の記事か分からなくなってきますが…。
これを『インターステラー』の物語に当てはめて、時間軸を整理したのが下の図です。

クーパーとアメリアは、宇宙で行動しているので上矢印の方向に進み、マーフは地球にいるので下矢印の方向に進みます。マーフの時間軸は普通に生活をしているので通常通りに進行ます。
逆にクーパーとアメリアは”コールドスリープ”(人工的な冬眠状態)と”重力”の影響で地球の時間軸とは異なる時間経過で加齢をしていく事になります。
「必ず帰ってくる」とマーフに約束したクーパー。出発時点での2人の年齢はクーパー35歳、マーフが10歳です。その2人が各場面でどれぐらいの時間がズレていっているのか確認していきます!
まずは、ワームホールまでの移動を”コールドスリープ”で過ごしたので、このタイミングで2年のズレ。このタイミングではクーパー35歳、マーフが12歳。と許容範囲ですね。
次は移住計画の候補である3つの星の1つ「ミラーの星」を調査完了した時点。「ミラーの星」は”ブラックホール”である「ガルガンチュア」に近く重力が強力に働き地球上の1時間=7年に相当し、トラブルもあり、この星だけで更に23年のずれが発生します。

出典:Amazon

この時点でクーパー35歳、マーフが35歳と同い年になってしまいます。
クーパーが地球を発つ時にマーフに言った「地球に帰ってきたらお前と同じ年齢かも」はこの時点で過ぎ去ってしまうんですね。まだ候補の星1つ目の段階で…。重力怖い。
次に向かったのは「マン博士の星」。ここは重力の影響を受けず時間経過は地球と同じです。
…が、この星は移住先としては向かないばかりか、マン博士の”生きたい”という願望が暴走し小型宇宙船は奪われるわ、燃料も無駄に使うわで地球にも第三の候補「エドマンズ」通常ルートでも行けなくなってしまします。
この時点での二人の年齢差は変わらず、同い年。
通常ルートでその目的地にも辿り着けなくなったので、クーパーは、ガルガンチュアの重力を利用し重力ターンで「エドマンズの星」へ母船を飛ばす方法を思いつきます。しかし、少しでも確実に「エドマンズの星」へ母船を飛ばすために、クーパーは母船以外のすべてを切り離しガルガンチュアに残る決断をします。
この重力ターンを決めるタイミングだけで、なんと現実世界の51年を消化します。さすが重力の塊。
母船を切り離したタイミングでの2人の年齢差は一気に広がり、クーパー35歳、マーフが86歳。平均寿命的にも一気にマーフの寿命というタイムリミットも発生します。
その後、クーパーは特異点に到達し5次元(縦×横×奥行×空間×時間とかいう人知を超えた高次元)へ辿り着きます。そこでクーパーは過去のマーフに間接的に干渉をする事になります。

※このシーンでは「ミラーの星」から「ガルガンチュア」に突入したタイミングの35歳ぐらいのマーフと時空を超えて干渉しているのですが、話の展開上どうしてもリアルタイムに思いがちです…。

干渉を終え、5次元空間が閉じ土星近くにマーフは放り出されマーフの設計したコロニーに救助されます。この時点で2人の年齢はクーパー35歳(地球年齢124歳)、マーフが99歳である事が救助された後に分かります。

※これまでの時間のトータルと、コロニーで言われる時間がずれているのは5次元での経過時間のズレと移動時間の影響かと思われます。タイムラインでは5次元での経過時間としています。

「ラザロ計画」は成功したの??

星としての寿命が尽きかけた”地球”を離れ、第二の地球を探す計画が「ラザロ計画」。
その「ラザロ計画」は大きく3つのフェーズで構成されています。

まずは第一段階で“ワールホールを通って別の銀河系へ飛び、人類が生存できる環境を持つであろう星を探し出すし、生存が可能な環境であればその星からシグナルを発信して地球からの救助を待つ”というもの。
次に第二段階で、そのシグナルが送られてきている星に向かい先に到着している人間を回収すると共に、最低限の環境を整え地球に帰還するという内容。(クーパー達の任務コレ)
最終段階として、宇宙ステーションを建設しその星に向かって地球の人々が移動する。というもの。
しかし、そもそも宇宙ステーションの建設には「巨大な建造物を打ち上げるために、重力をコントロールする必要」があり、これを解決するには、ブランド教授がその”重力をコントロールするために必要な方程式”を解く必要がありました…。そのため、この方程式を解けなかった場合を考え最終的なゴールとして2つのプランが用意されています。

出典:Amazon

【プランA】”方程式が解けた場合”:宇宙ステーションを建設して地球外へ脱出し、他の惑星に移住する
【プランB】”方程式が解けなかった場合”:受精間もない卵子を保管庫に入れて厳重に管理し、移住先の惑星で人口培養する計画。この場合、地球に残された人類は助からない。

基本【プランA】で成功する事が望ましいのですが、この「ラザロ計画」の根幹を占める”方程式”は地球上では絶対に解く事が出来ない内容である事が分かります。この方程式を解くには力の問題を解き明かすためには、ブラックホールの特異点を観測する必要があったのです。
先に書いたSF用語にもある”ブラックホールの特異点”。中心に位置するこの点には到達不可能でその計測はやはり不可能でした。

出典:Amazon

しかし、そこはタイムラインでも書いた通り、クーパーがガルガンチュアに残り特異点に到達する事で”解決”します。特異点まで到達し重力を解析し、5次元の空間からマーフに向かってモールス信号でその観測データを伝え、それを基にマーフはこの”方程式”を解く事に成功します。
果たしてこの観測データが1文字を分解して”トン・ツー”で伝えるモールス信号で伝えるのにどれぐらいの時間が掛かるのかは分かりませんが…伝える事に成功するんです!!!
とは言え、この項目で最初に書いた通り「ラザロ計画」の本来の目標は”第二の地球への移住”がゴールなため、『インターステラー』で描かれた内容だけでは、成功しているとは言えないんですよね…
結局は、第二の地球を見つけ、そこに宇宙ステーションで向かってるよ。までしか描かれないので、まだ道半ば。本当に成功したかどうかは視聴者に預けられています

成功の鍵は”観察可能な”愛の力。

結局、移住可能な星はアメリアの彼氏が着陸した「エドマンドの星」でした。映画のエンディングでアメリアがヘルメットをかぶらずにいた事からも”ほぼ”確実でしょう。
そして『ラザロ計画』の最大の難関”方程式”を解いたのも、時間と距離を超えたクーパーとマーフの親子の愛の力でした。

出典:Amazon

という訳で、陳腐な言葉になりますが…。『インターステラー』の世界を救ったのは”どれだけ離れていても感じる”愛の力だった訳です。

リアルな中でも納得いかない”パラドックス”

特異点の観測データをモールス信号で送るとか、少し現実離れしている所(もしかしたら観測データは凄く小さなデータだったかも知れないし…)はスルー出来るのですが、全く納得出来ない内容を1つ
それは、5次元空間での会話。この5次元空間を作ったのは<四次元を超越した未来の人類>で地球の危機を救うため、”方程式”を解くものとしてマーフが。それに必要なデータを送るためにクーパーが選ばれた。みたいな内容。

出典:Amazon

これって凄い”矛盾”を孕んでいて
①未来の人が、地球人を救うために5次元空間を作り2人を選んだ=地球人は救われている。
②この5次元空間が無いと地球人は救われない=未来に人は存在しない。
という訳で、この5次元空間を作り出す未来人が存在する為には、5次元空間がそもそもなかったらダメ。という気持ちの悪い話になってしまいます…。これだけは個人的には納得できないなーと。
仮に「【プランB】で作られた新しい地球人が”もともとの地球人”を救うために、5次元空間を作った(≒平行世界)」とかなら納得できるのですが、そうなると<クーパーが5次元空間で過去のクーパーを見る>ことも出来ないので、もっと説明できない部分が増えるし…。うーんという感じ。
とは言え、気にせずに楽しめるので「そんな疑問」もあるんだなと思ってもらえると◎

まとめ

・“難解”な理由はガチな”理論物理学者キップ・ソーンとリアル志向なクリストファー・ノーラン監督の組み合わせのせい。
・相対性理論とか特異点とか、説明をしてくれるキャラクターはいないので”事前学習”を推奨。
・時系列の整理と、登場人物の加齢のスピードを把握している方が面白い。
・ネタバレを見ても楽しめる。でも上記の理由から2回目を見るのは結構体力がいるから注意。
・どうでもいいけど、アン・ハサウェイは綺麗。
・幼少期のマーフと大人になったマーフは別人だけど、本当にそういう成長しそうなぐらい顔が似てる。
・もやもやするところも、人によってはあるかもしれない。
・ロジックやSF要素が満載だが、実は”愛の物語”

コメント