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シネマレビュー:『セブン(Se7en)』1995年

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出典:dTV
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1995年公開の映画『セブン(Se7en)』の作品紹介と簡単なあらすじ。感想とネタバレを含んだ考察を公開しています。

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作品紹介

全米で4週連続 興行成績1位を獲得したデヴィッド・フィンチャー監督の出世作。
主演は、この後もデビット・フィンチャー作品でタッグを組む事になるブラッド・ピット。

脚本は『スリーピー・ホロウ』『パニック・ルーム』を手掛けたアンドリュー・ケヴィン・ウォーカー。
ミルトンの『失楽園』やダンテの『神曲』をベースに”七つの大罪”を題材にした、暗く猟奇的でありながら陰影の強い映像やスタイリッシュなカットでビジュアル的にも素晴らしいサイコ・サスペンス映画。

あらすじ

舞台は”治安の悪い”ある大都会。
そんな街に、あえて志願して転属してきた新人刑事ミルズ(ブラッド・ピット)と定年間際の刑事サマセット(モーガン・フリーマン)は”胃の内壁が裂けるほど”スパゲティーを食べさせられて殺されるという、猟奇的な殺人事件を調査していた。
そんな中、また猟奇的な殺人事件が発生。現場にあった”GREED(強欲)”という文字から前の事件と合せて”七つの大罪”になぞらえた連続殺人事件である事が発覚するのだが、7名の犠牲者を出す前に犯人を確保する事が出来るのか?果たして犯人とは?その動機とは?

みんなの『セブン(Se7en)』レビュー分析

DATE:対象:Filmarks/Amazonレビュー新着順 各100(gokitsu調べ2020.09.19)

Filmarks/Amazonでの『セブン(Se7en)』新着順レビューTOP100を分析しました。
まずびっくりなのは、ブラッド・ピットよりサマセット役のモーガン・フリーマンの方が人気な点。
『セブン(Se7en)』ではいい味出してましたが、びっくりですね。
皆さんが挙げている”エンディング”については”バットエンディング”という評価も多い様ですが、考えさせらるエンディングとして記憶に焼き付いているのでは無いでしょうか?
映画としては”金字塔”や”衝撃””最高”などの評価が目立ち、やはり今もなお愛されている作品といえるのではないでしょうか?
とはいえレビューにも頻出するように”7つの大罪”に見立てられた殺人は”グロ注意”。そして若干難解な展開になっているので、『セブン(Se7en)』
を見る時は、そういった前置きを心に置いて鑑賞をする事をおススメします!

感想

デビット・フィンチャー作品としては、暗い独特の世界観。スタイリッシュなシーン転換。どんどん変わっていく登場人物の内面。視聴者に結末を委ねるエンディング。という事で2作目にして完成形だと思ってます。
作品的には、猟奇的でありながら”哲学的/宗教的な信念”を持った犯人と自分の”正義に対する信念”を持った警察官の対比。そして最後に”信念”を貫けたのか?と考えさせられるエンディングは見事。
今見ても古臭く感じない、ビジュアル面が取り上げられる事が多いですが”やはり”展開含めサスペンス映画としても個人的には名作だと思う。
ただ、終盤の展開は先が読める人もいると思います。その”先”が覆るのかどうなのか?それは観て確認してみて下さい!

レビュー的なSomething(ネタバレ)

①「7つの大罪」とその描写

出典:IMDb

「7つの大罪」って『鋼の錬金術師』とかを色んなメディア作品で取り上げられているのでご存じの方も多いと思いますが、これはカトリック教会的にはグレゴリウス1世以来伝統的に罪の源とされている「傲慢:pride」「強欲:greed」「嫉妬:envy」「憤怒:wrath」「色欲:lust」「暴食:gluttony」「怠惰:sloth」の7つのことです。個人的に”暴食:gluttony”以外は全て当てはまりますね…。
作中では、ラストシーンの2名を除くと


<1人目>暴食:gluttony⇒犠牲者は肥満の男。胃が破裂するほどスパゲティーを食べさせられ死亡。
<2人目>強欲:greed⇒悪徳弁護士の男。死因は大量出血で、贅肉を1ポンド分切り落とされる。
<3人目>怠惰:sloth⇒前科者。手首から先が切断され舌もかみ切られているが生存。
<4人目>色欲:lust⇒娼婦。死因は陰部を切られたことによる大量出血死。
<5人目>傲慢:pride⇒美人モデル。自慢の顔をズタズタにされたことに絶望し自殺。

という形で、その”罪”にあった人物が”罪”になぞらえられた形で殺されます。
この描写が<3人目>まで、とそれ以降での濃淡差がすごいです。
終盤に差し掛かり、犯人に迫っているので致し方無いですが、<5人目>に至っては”殺されたな”ぐらいの感じです。まあずっと<1人目>のテンションだとしんどいのはしんどいんですが…。
とはいえ、全体的に殺人シーンはグロ要素が大きいのでそこは何とか耐えて下さい!

②猟奇的殺人犯ジョン・ドゥを演じる ケヴィン・スペイシー

出典:IMDb

同年の『ユージュアル・サスペクツ』にも出演しているんですが、本当にこういう”不気味悪役”の似合う俳優さんです。
この作品では、MTVムービー・アワード 悪役賞 受賞も受賞しています。
この「ジョン・ドウ(John Doe)」というキャラクターは、名前がわからない時に使う名前で、日本でいうと「名無しの権兵衛」。作中でこの猟奇的な事件についてサマセットが「普通の人間」の犯行と言ってましたが、ネーミングと合わせと”どこにでもいる普通の人”もこうなる可能性があるという事なのかと思います。
そしてその役を見事に演じているケヴィン・スペイシー。主演の2人によく目が行く映画ですが、彼の醸し出す雰囲気がこの映画で凄い大事だと思ってます。

③ブラッド・ピットの凄さ。

正義感の強く熱血漢。そんな新人刑事ミルズを演じたブラッド・ピット。
この時ブラッド・ピットは『12モンキーズ』と掛け持ちをしていたのですが、その多忙さもあり前後関係なくシーンを撮影しています。
そんなシーンの中でも、逃走するジョン・ドゥを追跡中に左腕を負傷するシーン。この際本当に左腕を骨折しています。これ以降のシーンはまだ”骨折”をしているミルズなのですが、前後バラバラで撮影しているので、”骨折”していないミルズについても骨折した状態で撮影してました…。
演技力もさることながら、スタントも使わず限りある時間の中で最高のパフォーマンスを出す”やはり”素晴らしい俳優さんです。
ちなみに、掛け持ちしていた『12モンキーズ』ではゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞とアカデミー賞助演男優賞を受賞しています。

④ラストシーンについて

出典:IMDb

一番の問題はこのエンディングでしょう。
最終的に身重の妻を殺したジョン・ドウ。その告白を聞き葛藤の末ジョン・ドゥを撃ち殺したミルズ。ミルズはそのままパトカーで護送され、サマセットがヘミングフェイの一節”この世は素晴らしく、戦う価値がある。後半には同意する”というセリフを言って幕を閉じます。
デビット・フィンチャー作品によくある、最後の意味は観客に委ねられるのですがこの意味は


・ジョン・ドゥへの復讐心から抱いたミルズが”憤怒:Wrath”になった。ジョン・ドゥの計画通りになったけれど、これからも戦っていくんだ。
・ミルズは復讐心を持っていたが、最後は”復讐心”からではなく精神鑑定で無罪になる可能性のあるジョン・ドゥに”罪”を償わせるために撃鉄を引いた。ジョン・ドゥの思い通りにはならなかったがっ結局世界は汚れている。だから戦っていくんだ。

のどっちかかな?と個人的には思っています。単純に前者の方が単純ですが。
ちなみに、このエンディングとは別に2つの案があったそうです。1つ目はサマセットがジョン・ドウを撃つもの。2つ目はミルズがジョン・ドウを撃って映画が終わる。の2つです。1つ目の案は、ミルズを演じたブラッド・ピットが、「自分だったら絶対引き金を引く」と反対し、2つ目については試写段階でラストが唐突すぎお蔵入りに。
デヴィッド・フィンチャー自体は2つ目のエンディングが本当は良かったみたいですが、個人的にもそっちの方がデヴィッド・フィンチャー感が強いなとおもいます。
皆さんも作品を観て、残りの2つの結末を考えてみては?

総評

・こだわり抜かれたビジュアルは、作品全体で感じられる。
・7つの大罪になぞらえられた殺人は、グロ耐性が必要。
・とはいえ、サイコ・サスペンスとしてはやはり最高峰の1つじゃないかと。
・作品に登場する人物、演じる俳優の演技が素晴らしい。
・エンディングは、やっぱり皆さんの心の中に。
・観た事なければ、一回観ましょう!観ても”無駄な時間”にはなりません。
・ただ観る時は、”落ち込んだ時”や”疲れてる時”はやめましょう。
・もしかしたら”普通の人”じゃなくなります。注意!

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